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ゆうくんとマイハウスの物語

11月5日午後2時、わが家の愛する三男坊、だいじな、だいじなゆうくんが、思いがけなく逝ってしまいました。

悲しみと、彼を愛おしむ気持ちは増すばかりです。

下記の掌編をゆうくんに捧げます。

13年7か月と4日の生涯を、
一生懸命、健気に生きたゆうくんを
どうか、どうか、
時々思い出してやってください。
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ゆうくんのマイハウス。
ゆうくんがわが家にくるときに、
いっしょにやってきたマイハウス。

立派なつくりのマイハウス。
ゆうくんが大好きなマイハウス。

ある日の夜明け前、
ふと目を覚ますと声がする。
マイハウスの方から声がする。

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マイハウス
「坊よ、ぼう…だれか坊をしりませんか?」

なんと、マイハウスが歌ってる。
かなしいうたを歌ってる。

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泣いている。
マイハウスが泣いている。
かなしくて、かなしくて泣いている。


「マイハウスさん、泣いているのですか?
坊、というのはゆうくんのことですか?」


マイハウスが語り出す。
ゆうくんへの想いを語り出す。

「…私はおとうさんからあの子へのプレゼント。
坊と暮らすことになったおとうさんは、
とびきり上等なおうちをプレゼントした。」

私「わかります。あなたは最高級のわんこハウス。今ではどこにも売ってません。」

マイハウス、ちょっと得意そう(笑)。

「やさしいおとうさんとおかあさん、子どもも生まれて幸せいっぱいだった。
ところが、おとうさんはひとりぼっちになってしまった。」

私「…」

「それでも、坊は幸せだった。おとうさんは、坊をだいじに、だいじにしてくれたから。
しかし、ある日仕事に出かけたおとうさんは、それっきり帰ってこなかったんだ…」

私「聞いています…」

「残されたのは坊と三匹の猫。通いのシッターさんが日に二回来て世話をしてくれたが、あとは坊と猫だけ。」

私「その生活が2年も続いたんですね。」

「わんこと猫が仲良くなることも稀にはあろうが、あの猫たちは、そうじゃなかった。
いじめたりはしなかったが、坊とかかわろうとはしなかったんだ。」

私「猫につれなくされてショボンとするゆうくんの顔が目に浮かび、たまらなくなりました。」

「あの子は飛びっきりの甘えん坊、どんなに寂しかったろう。
坊は私に入っては泣いたものだ。

マイハウス、マイハウス、さびしいよ
いっしょにいてね、マイハウス

私は木で出来たわんこハウス。しかしな、一途に思われれば、木にも心が宿るんだ。
いつしか私は、坊と話が出きるようになったんだ。」

私「…」

「永遠に続くかと思われたそんな日々は、ある日突然、終わりを告げた。」

私「ゆうくんをわが家に迎えた…」

「うむ、いつものシッターのお姉さんが、坊をキャリーに入れた。トリミングや病院に行くときはそうだったから、そのどちらかかと思ったら、なんと私まで車に載せるではないか。そして一回、車を乗り継いで、ここに来たわけだ。
シッターさんが、“前の飼い主さんが用意されたものですが、どうしますか?”と私のことを訊ねた時は、“ああ、これで坊ともお別れか…”と思ったが、いっしょにあんたがたの車に載せてもらえた時は、本当に嬉しかったよ。ありがとう。」

私「お礼を言うのはこちらの方です。あなたは常にゆうくんの心の拠り所だった。」

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私「突然、できた兄弟とどうやって付き合っていいかわからないときは、すぐにあなたに避難してましたっけ(笑)。」
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(マイハウスの入口で張り込むポメと、困惑するゆうくん。)


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「デューク君だな。彼が一生懸命、坊にコンタクトしてくれたおかげで、坊は急速にこのウチに馴染んでいった。」

私「ええ、長兄ポメがデカポメだったので、つりあう大きさの弟ができて、本当に嬉しかったようです。」

「それだけに、半年もたたぬうちにデューク君が逝ってしまったのは、残念でならなかった。」

私「…」

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「坊は私に入ると、一生懸命話してくれたんだ。
兄ちゃんたちができて、どれほど嬉しいか。
ママがどんなにやさしくしてくれるか。
ママのことが、どんなに大好きか…」

私「そうですか…」

「もちろん、いいことばかりじゃない。兄ちゃんたちがいなくなってしまったこと、少しずつ悪くなるからだのこと…」

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私「最後の1年の写真を見返してみたんですが、あなたに入っている写真はほとんどありませんでした。」

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「それでいいのさ。私に入らないのは坊がこのウチに馴染んだ何よりの証拠なんだから。それに坊には時間がなかったんだ…」

私「時間がない?」

「ポメ君が逝ったあと、坊が元気をなくしてしまったことがあったろう?」

私「はい、ですがしばらくしたら急に元気になり、バリバリ歩くようになったんです。」

「本当はね、坊も天に召されるはずだったんだ。」

私「!」

「それをポメ君とデューク君がポメラニアンの神様に必死で頼んだ。そんなの、ゆうとママがかわいそう過ぎます。何とかならないんですか?、ってね。
心動かされた神様は、2年のお留守番に目をつけた。
“よろしい、2年は無理だが、あと1年、ゆうにロスタイムをあげよう。そして、1年にするかわりに、ひとつだけ、願いをかなえてあげよう。”

坊は迷わず言った。
“歩けるようになりたいです!”」

私「…(泣)」

「それからの坊の頑張りは、あんたもよく知ってるだろ?

そしてほぼ1年がたったあの日…」

私「11月5日…」

「坊の様子がおかしくなり、ママさんが必死の形相で坊を抱いて飛び出して行った。
そして戻ってきた坊は、私の前で眠り続け、三日後の夕方出かけて…戻ってこなかった。」

私「…」

「坊はどこに行ったんだ?」

私「…ゆうくんは、ポメとデュークのいる、虹の橋に行きました。」

「それは…死んでしまったということかね?」

私「はい。」


「やっぱりな。そうかなとは思ったが、はっきり聞いてみたかったんだ。

教えてくれてありがとう。」

私「いえ…」

(そうか…お葬式までの時間、思い出巡りをしたけれど、マイハウスに入れてやらなかったじゃないか!
マイハウスはこんなにゆうくんのことを思っていたのに。なんという気の毒なことをしてしまったんだろう…)

私「マイハウス、ごめんなさい。最後にゆうくんをあなたに抱いてもらうべきでした。」

「…気にすることはないさ。あんた方も大変だったんだから…」

それでも、寂しそうなマイハウス。

ふと思いつき、ゆうくんの遺影をマイハウスにいれてあげました。

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心なしか、マイハウスが微笑んだように見えました。






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それっきり、マイハウスは二度と口をきくことはありませんでした。




やさしい、やさしいマイハウス。

ゆうくんの大好きなマイハウス。

新しく迎えた妹、ココアのことも

ゆうくんといっしょに見守ってくださいね。



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長くなってごめんなさい。読んでくださってありがとうございました。

2014年12月13日 一部加筆








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by pomedukeyu | 2014-12-23 23:59 | ゆうくん