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夜の散歩の小さな奇蹟

遅くに出かけた昨日の散歩。

あたりはすっかり夜の闇につつまれていました。

ほぼ毎日通る道の景色も、夜にはまったく違って見えます。

いつもの運動場は、傍らが草地で夜は蚊も多いので回避し、近くの団地内の道(桜やツツジや雪だるまを見るときに通ります)で、ゆうくんをおろしてみました。

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いつもと違う場所なので歩かないかな?

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…ところが、ゆうくんは夜の景色が珍しいのか、いつもより早く歩き出しました。

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よいしょ、よいしょ。

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頑張って歩きます。

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街灯に照らし出される風景はどこか幻想的。

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思えば、知らないうちに、この世とあの世の境に迷いこんでいたのかもしれません。

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「にいたんの橋に行くでちよ。」
「そうしようね。」

本当は近所をカートで回るつもりだったんですが、ポメがいたら橋に行かないなんてあり得ませんから、回って帰ることにしました。

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ほどなく、ポメの橋に着きました。来る日も来る日も、ポメが通い続けた思い出の橋。

「にいた~ん、ゆうくんが来たでちよ~! 出てきてくだちゃ~い!」

もちろん、ポメが答えるはずもなく、いつものように橋を二往復(それがポメの日課でした)して帰ろうかとカートを動かしかけたその時…


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「にいたん、にいたんだ!」
「えっ?!」




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次の瞬間には、夜の闇に橋が浮かび上がるだけ。どんなに目を凝らしても、もうなにも見えません。

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「ゆうくん、かえろうか…」
「…」

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「今のは確かににいたんだったでち…」
「え?」
「なんでもないでちよ…」

橋を離れてすぐ、ずいぶん久しぶりにポメの“盟友”黒猫のクロちゃんに逢いました。

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「あれはなんだったんでちか?にいたんのオバケでちか?」
「さあな。ポメに逢いたいという、君の願いを聞いた夜の神様が、つかの間、夢を見せてくださったのかもな…」
「そうでちか。夢でもいいから、また逢いたいでちよ。」

人には分からぬ、こんな会話を交わしていたのでしょうか…










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by pomedukeyu | 2014-06-01 17:17 | ポメ